【3月10日 AFP】英テレビ局スカイニューズ(Sky News)は9日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のメンバー2万2000人分の名前や住所、電話番号、家族の連絡先などが記載された書類を入手したと報じた。

 スカイニューズによると、ISに幻滅した元メンバーが、内部の治安警察幹部から盗んだ書類データ入りメモリースティックを同局に提供。書類はIS加入時に記入しなければならないもので、51か国から参加したメンバーの情報が含まれているという。中には、欧州北部や米国、カナダ、北アフリカや中東を拠点とする、今まで知られていなかったISメンバーもいるとされる。

 スカイニューズが報じた書類のコピーには、血液型や母親の旧姓、「イスラム法典の理解度」、職歴など、新メンバーが答えなければならない23の質問が示されていた。

 書類には、切断された頭部を持つ自身の写真をツイッター(Twitter)に投稿したことがあるロンドン(London)西部出身の元ラップ歌手、アブデルマジド・アブデルバリー(Abdel-Majed Abdel Bary)容疑者や、昨年8月に無人機攻撃で殺害された英イングランド(England)・バーミンガム(Birmingham)出身のISハッキング要員、ジュネイド・フセイン(Junaid Hussain)容疑者など、すでに身元が確認されているメンバーの名前もあった。

 書類は、シリアの反体制派組織「自由シリア軍(FSA)」の元メンバーで、ISに参加したアブ・ハメド(Abu Hamed)と名乗る男性が提供した。男性は、書類入りのメモリースティックを盗み、トルコでジャーナリストに渡した。その際、IS内でイスラム教の規律が崩壊したためISを離脱したと説明。また、ISはシリア北部ラッカ(Raqa)の拠点保持をあきらめ、砂漠地帯に移動を始めていると語ったという。

 スカイニューズは入手した書類について当局に通達したとしているが、英国の内務省や外務省からのコメントは今のところ得られていない。(c)AFP