【3月8日 AFP】「僕は自分が被害者だと公表したを悔やんでいない。でも人々は僕のことを変な目で見るようになった」と、パキスタン人の少年イルファン(Irfan)君(16)は言う。

 イルファン君は、ギャングから性的虐待を受けた20人の子どものうちの1人。ギャングらは虐待の様子を撮影したビデオを販売したり脅迫目的で使ったりした。この事件はパキスタンに衝撃を与えた。

 被害者の一部の両親から訴えがあったにもかかわらず、警察の捜査は遅々として進まなかった。性的虐待が始まってからすでに何年も経過した昨年の夏、警察はようやく容疑者とみられる37人の男を逮捕した。被害者の親族と当局が衝突したことをきっかけに事件がメディアに取り上げられ、やっと警察が重い腰を上げたのだった。

 同国を揺るがす児童性的虐待事件が公になってから半年後の現在、警察によると、17人が拘留されて公判を待つ身であり、3人は保釈されたという。

 しかし、タブーを破って正義を求めた幼い被害者たちは、人生をやり直す希望がほとんど見えないと語る。

 近年、この保守的な人口約2億人のイスラム教国でも、わが子が受けた性的虐待について被害を届け出る親は増えている。

 だが、小児愛者との戦いは緒についたばかりだ。根強く残るタブーや司法制度の不備、社会的意識の低さが、こうした現象を隠された、社会の中に深く埋もれたままにし続けている。