【3月6日 AFP】米大リーグ(MLB)史上初めて薬物違反による永久追放処分を受けたニューヨーク・メッツ(New York Mets)のヘンリー・メヒア(Jenrry Mejia)投手が、米紙ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)のインタビューに応じ、自分はいけにえにされたと話した。

 ドミニカ共和国出身で、26歳のメヒア投手は、自分はMLBによる魔女狩りの標的にされていたと話し、さらに、前例のない厳罰に対して異議を唱えるチャンスを与えてくれなかったと選手会を非難した。

 2月、メヒア投手からは、筋肉増強剤の一つであるボルデノン(boldenone)の陽性反応が出た。メヒア投手が禁止薬物の検査で陽性を示すのは、この1年以内でこれが3度目だったため、リーグの規定に従って永久追放の処分が下された。

 しかし、通訳を伴ってニューヨーク・タイムズのインタビューに答えたメヒア投手は、違反を犯したのは最初の1回だけだと話した。本人によれば、2回目の検査結果は正確ではなく、さらに結果が公表されると、薬物関連の人脈に関する情報を提供するよう、MLBから圧力を受けたという。

 メヒア投手は、「私としては、あれはこちらを標的にした陰謀だったと感じています。何か証拠を見つけて、私のキャリアを終わらせようとしていたように感じました」と話した。

 さらにメヒア投手によれば、2回目の検査結果に対して異議を申し立てたいと訴えたところ、MLB側から、そんなことをすれば「3回目の陽性反応を検出する方法を探る」と言われたという。

 MLBの広報を担当するパット・コートニー(Pat Courtney)氏は、メヒア投手の主張を否定し、「MLB内部、あるいはリーグの代理人が、薬物違反に関連してメヒア選手と会ったことはありません」と話している。

 メヒア投手は、自身の決断に後悔はないと話している。

「私にできることは何もありませんでした。起こると決まっていることは、その通りに起こるものなんです。神がそうなることをお望みになったのなら、その通りになる。私たちにできるのは、罪があるならその罪を受け入れ、なかったとしても、前向きに生きることだけです」

 永久追放の範囲はMLB以外のプロリーグにも及ぶため、メヒア投手は日本や韓国、メキシコでプレーすることもできない。

 薬物検査に関するMLBの規定では、メヒア投手は処分から1年が経てば、ロブ・マンフレッド(Rob Manfred)コミッショナーに対して球界復帰を申し出ることができる。ただしその場合、最低でも2シーズン待たなければ、MLBのグラウンドに復帰することはできない。(c)AFP