【3月4日 AFP】2012年米大統領選の共和党候補だったミット・ロムニー(Mitt Romney)氏は3日、今年行われる大統領選の候補指名争いで共和党の首位を走る不動産王ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏に対し、大統領の資質がないなどとする容赦ない個人攻撃を浴びせた。トランプ氏の独走状態に対し党内に広がる動揺を浮き彫りにした格好だ。

 ロムニー氏はユタ(Utah)州で行った演説で、「ドナルド・トランプ氏は偽物で詐欺師だ」と批判。「大統領としての気質も判断力も持ち合わせていない」とし、強欲、不誠実、下品、向こう見ず、弱者いじめ、女性蔑視的など、ありとあらゆる軽蔑的な言葉でトランプ氏を攻撃した他、同氏が掲げる政策は景気後退を招き、同盟国を当惑させるものだと非難した。

 共和党には、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領もかつて口にした「汝、共和党の同士を悪く言うなかれ」という「11番目の戒律(11th commandment)」があり、ロムニー氏のような激しい非難は異例だ。

 08年大統領選の共和党候補ジョン・マケイン(John McCain)上院議員もロムニー氏に追随し、同氏や国家安全保障の専門家らがトランプ氏に抱いている懸念に同意すると表明。トランプ氏の発言は「知識不足であり、確かに危険だ」と批判した。

 こうした動きにトランプ氏もすぐさま反撃。予備選を5日に控えるメーン(Maine)州で開いた集会での演説で、ロムニー氏が4年前の大統領選では自分を支持してくれと「懇願」してきたが、結局バラク・オバマ(Barack Obama)現大統領に敗れたと批判。

「あの時、『ミット、ひざまずけ』と言えば、彼はひざまずいただろう」「彼ほど喉を詰まらせたやつは、これまで見たことがない」と、性的行為をにおわせる表現を連発し、ツイッター(Twitter)でたちまち話題を呼んだ。(c)AFP/Michael Mathes, with Andrew Beatty in Washington