■国主導の避難は難しい

 ただ現状では、洪水波による最も大きな影響が出ると考えられる地域が、ISの支配下または紛争下の状況に置かれており、国が主導する避難が不可能であることも指摘された。対応策には「一部の避難者は、難を逃れるための移動の自由が得られない可能性がある」とあり、病人、体が不自由な人、高齢者などは置き去りにされる恐れもあるとしている。

 米大使館の調査によると、モスルダムの決壊によって、イラクの電力供給網全体が停止し、国内最良の農地の大半が永続的な打撃を受けるほか、首都が数週間にわたり浸水した状態に陥ることも考えられるという。

 現在、クルド人自治政府の治安部隊ペシュメルガ(Peshmerga)が防備にあたっているモスルダム。必要不可欠な補修工事はイタリア企業のトレビ(Trevi)が担当する。(c)AFP