【2月21日 AFP】米大リーグ(MLB)で最多本塁打記録を持つバリー・ボンズ(Barry Bonds)氏が、20日、マイアミ・マーリンズ(Miami Marlins)の打撃コーチとしての職務を開始し、事実上の引退となった2007年以来、初めてフルタイムで球界に復帰した。運動能力向上薬の使用が疑われ、コーチ就任に際しても議論を呼んだボンズ氏は、「神は、私が殿堂入りにふさわしい人間であることを知っている」と宣言した。

 22年の現役生活で、リーグ最多の762本塁打を放ったボンズ氏だが、禁止薬物使用のイメージが付きまとい、多くのファンから冷笑を買っただけでなく、米国野球殿堂(Baseball Hall of Fame)のノミネートにも影を落とした。

 51歳のボンズ氏は、一昨年にも、春季の1週間限定で古巣サンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)の打撃コーチを務めていたが、マーリンズのドン・マッティングリー(Don Mattingly)新監督が招へいするまで、MLBではお呼びがかからなかった。

 今年行われた全米野球担当記者協会(BBWAA)の記者による野球殿堂の投票で、ボンズ氏の支持は44.3%にとどまり、殿堂入りに必要な75%には遠く及ばなかった。それでも、この4年では自身最多の得票を記録した。

「神は、私が殿堂入りにふさわしい人間であることを知っている」と語ったボンズ氏は、「自分が殿堂入り選手だということを知っている。私が論争に加わる必要はない。その決定は、あなた方に任せる」と続けた。

「しかしMLBの仲間で、あの場に座り、私がふさわしくないと言える選手はいない。これまで指導を受けた人の中にも、私がふさわしくないと言う人は一人もいない」

 ボンズ氏は現役時代、シーズン最優秀選手(MVP)選出7回、ゴールドグラブ賞(Gold Glove)受賞8回、オールスターゲーム(All-Star Game)選出14回など、名だたる記録を残してきたが、栄養補助食品会社バルコ(BALCO)による大規模スキャンダルで、個人トレーナーを通じ禁止薬物を使用していた疑惑が浮上した。

 同スキャンダルで、偽証などの罪に問われたボンズ氏だが、立証されたものは一つもない。(c)AFP