【2月19日 AFP】今季の米ニューヨーク(New York)ファッションウィークで、長く守られてきた世界のファッションカレンダーに革命を起こしたものがある。それは、キャットウォークで見た服をすぐに注文できるという「クリック&バイ」システムだ。

 ハイファッション界では100年以上前から、四季を春夏と秋冬というシーズンに明確に区別してきた。

 デザイナーがファッションウィークで新コレクションを初披露し、ファッション誌が取材して記事を書く。その雑誌が出版されて、実際に服が店舗に並び、ランウェイを飾った服が手に入るのは、初登場から半年後――これがこれまでの常識だった。

 今やそのサイクルが過去のものになろうとしている。これまでファッションショーを見ることができるのは、雑誌編集者やソーシャライトといった、一部の人たちに限られていた。しかし現在では、インスタグラム(Instagram)にスナップチャット(Snapchat)、ライブフィードやブロガーの台頭で、インターネットさえあればキャットウォークの模様をリアルタイムで見ることができる。

 こうなってくると、インターネット上に6か月も前から拡散している服に大枚をはたこうというハイエンドのクライアントなどいなくなってしまう。「もう飽きた、もっと新しいものが欲しい」という声が上がって当然だ。

 米デザイナーのトミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)は、ニューヨークのチェルシー(Chelsea)地区に構えている自身のスタジオでAFPの取材に応じ、「より若い世代の顧客は、待つことに耐えられない。服を見て、その日のうちか翌日にはもう着たいと考える。それでルールを変えることにした」と語った。

「トミー ヒルフィガー」のファンは9月から、キャットウォークで紹介されたコレクションをすぐ買えるようになる。これこそ、トミーが「クリック&バイ」と呼ぶ新システムだ。

 今季すでに、このシステムを導入したデザイナーもいる。同じくニューヨークに拠点を置くレベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)だ。「#SEEBUYWEAR(見て買って着る)」を掲げ、ランウェイで紹介した服の7割を直ちに購入できるようにした。

「トミー ヒルフィガー」だけでなく、英高級ブランドの「バーバリー(Burberry)」や「トム フォード(Tom Ford)」も、9月に同システムを導入する予定だ。