【2月19日 AFP】世界報道写真財団(World Press Photo)が選ぶ2015年「世界報道写真コンテスト」の大賞にフリーランスカメラマン、ウォーレン・リチャードソン(Warren Richardson)氏(47)が撮影した、国境沿いに張られた有刺鉄線の下から赤ちゃんを渡す難民の男性を写した白黒写真が選ばれた。同財団が18日発表した。

 写真のタイトルは、「Hope for a New Life(新生活への希望)」。セルビアとハンガリーとの国境で撮影された、欧州が見舞われている第2次世界大戦(World War II)以来最悪の難民・移民危機を浮き彫りにした作品だ。2015年には100万人以上が欧州に流入したが、その約半数はシリアの内戦から逃れてきた人だとみられる。

 オーストラリアのメルボルン(Melbourne)出身で、現在は妻と3歳の息子と共にハンガリーの首都ブダペスト(Budapest)で暮らしているリチャードソ氏は、AFPの電話インタビューで「この写真には絶えず考えさせられる。『もしこれが私だったら?もしこれが私の息子だったら?』と」と語った。「同時に私は希望も見ている。この男性と子供の希望を」

■AFPカメラマン4人が入賞

 今回の賞で、フランス通信(AFP)は4賞を獲得。シリアを拠点とするサミール・ドゥミー(Sameer Al-Doumy)氏は、シリアの首都ダマスカス(Damascus)近郊ドゥマ(Douma)の空爆直後の光景を撮影した写真で「スポットニュース」組写真部門1位を受賞した。

 ドゥミー氏の同僚のアブド・ドゥマニー(Abd Doumany)氏は、ドゥマ空爆で死亡したり負傷したりした子供たちを写した写真が「一般報道」組写真部門2位に輝いた。

 AFPのベテランカメラマン、ロベルト・シュミット(Roberto Schmidt)氏は、昨年4月のネパール大地震の影響で発生した世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の雪崩を撮影した写真が「スポットニュース」組写真部門で2位を獲得した。

 トルコを拠点とするビュレント・キリチ(Bulent Kilic)氏は、トルコ国境でシリア難民を撮影した写真が「スポットニュース」組写真部門で3位を獲得した。

 今年のコンテストには、128か国の写真家5775人の8万2951点の作品が出品された。(c)AFP/Jan HENNOP