【2月19日 AFP】ポーランド民主化運動を率い、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したレフ・ワレサ(Lech Walesa)元大統領(72)が、同国の共産主義政権に協力して報酬を得ていたスパイだったと示す文書が見つかったことが18日、分かった。ワレサ氏は怒りもあらわに疑惑を否定している。

 ナチス・ドイツ(Nazi)支配下と共産主義時代の犯罪を訴追する「国民記録機関(IPN)」の代表が記者会見で明らかにしたところによると、新たに見つかった秘密警察の文書には「レフ・ワレサ、(暗号名)『ボレク(Bolek)』が署名した協力の契約書」が含まれているという。

 文書は、昨年死去した共産政権時代の将軍の妻の自宅で見つかり最近IPNが入手した資料に含まれていた。1970年代のものとみられるこの文書には、「ボレク」が署名した報酬の受領書もあったとされる。IPNは今回の発見についての概要を公式ウェブサイトで発表している。

 ワレサ氏は、自主管理労働組合「連帯(Solidarity)」を率いて1989年に無血の民主化を実現し、共産主義後のポーランドで初の大統領に就任した。

 連帯を率いていた際、秘密裏に共産党政権に情報を提供していたとする疑惑は以前から浮上していたが、同氏は「ばかげている」と一貫して否定。ワレサ氏の主張は特別法廷による2000年の判断でも認められていたが、この疑惑は現在もささやかれ続けている。

 今回のIPNの発表について同氏は「私の直筆の資料があるはずがない」とソーシャルメディアで即座に反論。法廷の場で身の潔白を証明していく考えを示した。(c)AFP/Bernard Osser