【2月18日 AFP】16日にトルコで行われたサッカーヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2015-16)決勝トーナメント1回戦第1戦のフェネルバフチェ(Fenerbahce)との試合後に、ロコモティフ・モスクワ(Lokomotiv Moscow)の選手がロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領を支持するTシャツを見せたとして、欧州サッカー連盟(UEFA)は17日、この不適切で政治的な行為に対して処分を検討していることを明かした。

 ロコモティフのドミトリ・タラソフ(Dmitry Tarasov)は敵地イスタンブール(Istanbul)で0-2と敗れた試合の後、紺色の帽子をかぶったプーチン大統領の写真の下に、ロシア語で「最も礼儀正しい大統領」と記されているTシャツをあらわにした。

 昨年11月、トルコがシリアとの国境でロシア軍用機を撃墜したことを受け、両国は激しい対立関係にある。

 UEFAはこの件について3月17日に公聴会を行うとしており、タラソフは政治的、宗教的、個人的な見解を表明することを選手に禁じている規則の下、長期の出場停止処分を科される可能性がある。

 クラブ側もタラソフの行為に距離を取ろうとしており、同選手を処分することを示唆している。

 ロコモティフは、「彼の自発的な行動は、クラブにとっても彼にとっても不適切で、有害である。タラソフは彼の契約で規定されている条件にならって罰則を受けるだろう」と声明を発表している。

 しかしながら、タラソフ自身はTシャツによって巻き起こされた騒動を反省する節はなく、プーチン大統領を支持しているものの、他人を動揺させる意図はなかったと語った。

 ロシアの通信社Rスポーツ(R-Sport)は、「彼はわれわれの大統領。私は彼に敬意を表し、彼とどこでもともにいることを示そうと決めた」というタラソフのコメントを報じた。

 この試合で警告を受けて次戦の出場停止が決まっているタラソフは、次の出場機会でもプーチン大統領が描かれたTシャツを着用すると断言した。

 ロシアのテレビ局ライフニュース(LifeNews)に対し同選手は、「誰かに嫌がらせをしたり、挑発したりするつもりはなかった。自分のしたことで、周りでひどいことが起きたりしたわけではない。それははっきりと分かっている」とコメントした。

「次の試合の後、違ったスローガンが記されたプーチン大統領のTシャツを着ている私を目にするだろう」

 Tシャツに書かれていた言葉は、クリミア(Cremia)併合を実行したロシア兵の婉曲的な表現を引用したもので、兵士たちは「礼儀正しい人々」として知られている。(c)AFP