【2月22日 AFP】韓国で天才少女として話題になっている女子フィギュアスケートのユ・ヨン(Young You)。五輪での金メダルを目指し、1日6時間の過酷な練習に励む彼女は、目標達成のためならどんな努力もいとわない覚悟を決めている。

 まだ11歳とあどけさなの残る年齢ながら、1月に韓国の全国選手権を史上最年少で制したユは、引退した氷上の女王、金妍児(Yu-Na Kim、キム・ヨナ)さんの後を継ぐと評される逸材だ。

 身長143センチと小柄なユが、全国選手権の女子シングルで驚きの優勝を飾ると、ある主要紙はすぐさま「フィギュアスケートの天才少女」とたたえ、彼女は一夜にしてヒロインとなった。

 5歳のとき、育った熱帯の島シンガポールで初めてリンクに立ったユについて母親は「娘は2回レッスンを受けただけでシングルアクセルをマスターしました。コーチもこんな子は初めてだと言っていました」と明かした。

 韓国選手権では、金妍児さんが持っていた記録を塗り替えての最年少優勝。会場にいた金妍児さんも、「彼女は若かったときの私よりも上」と太鼓判を押した。

 しかし、彼女はその高い次元のパフォーマンスのために代償を払っており、毎日、氷上で4時間、さらにそれ以外に2時間のトレーニングに励み、普通の子供なら当たり前の楽しみに費やす時間もない。

 娘を誇りに思う母親も、ユが失っているもののことを思うと、不安に駆られるときがある。

「ときどき心配になります。娘には、普通の11歳が送るような生活をさせてあげられていない。友達と出かけることも、かわいい服を着て学校へ行くことも、ピアノのレッスンを受けることもできないんです」と母親は話す。

 彼女は「ヨナ・チルドレン」と呼ばれるプレティーン(10歳から12歳の子どもたち)の有望選手の一人。2010年のバンクーバー冬季五輪で金メダルを獲得した金妍児さんは、2014年のソチ冬季五輪をもって現役を引退。平昌冬季五輪を2年後に控える国内では今、金妍児さんの後継者を探す動きが熱を帯びている。