「金妍児の後継者」、11歳の天才少女が歩む長く過酷な道
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■「スポーツをする機械」
韓国は、スポーツの強化に「猛特訓」式のアプローチを取る国として知られている。その典型例と言えるのが女子ゴルフで、練習に次ぐ練習を重ねてきた選手たちが、今では世界ランキングの上位を席巻している。
ところが、ユくらいの年齢の子供が猛烈な日々を送るのは「危険」だと警鐘を鳴らす人たちもいる。東亜大学校(Dong-A University)でスポーツ科学を教える教授もその一人だ。
「過去にも事例があります。『スポーツをする機械』として育てられた子供が、やがて社会的な脱落者になってしまうという例が。懸念されるのは、それが当たり前の公式になってしまいはしないかということです」
それでも本人は明るさを失っておらず、一番つらいのは早起きと大好きなスナックを食べられないことだと話している。
韓国では今、とてつもないほどのユ・ヨン旋風が巻き起こっており、知名度が急上昇したおかげで、道で見知らぬ人から声をかけられることも珍しくなくなった。
本人は「外を歩いているとみんなが私に気付いて、カメラを向けてくることも多くなりました。でも、自分をコントロールしなくちゃいけないと思います」と話すが、人気爆発が原因で、練習に集中しづらい環境になりつつあることは本人も認めており、全国選手権を制した後は残念な結果に逆戻りしてしまった大会もあった。
しかしユは、スピードとジャンプの精度を上げて巻き返したいと意欲を燃やしている。
ユが2010年、5歳でスケートを始めたきっかけは、金妍児さんの金メダルを獲得した演技に心を奪われたからだった。当時、母親が自宅のパソコンでバンクーバーの映像を繰り返し見ていたのだ。
母親は、「金妍児さんのバンクーバーでの滑りにすっかり魅せられてしまって、2日通して見続けたこともありました。そのうち娘も一緒に見るようになって、私にもスケートをやらせてとお願いされるようになったんです」と話す。
そして2010年3月、初めてシンガポールのリンクへ出かけたユはたちまち恋に落ち、その熱意は、営業時間が終わっても帰りたくないと言ってスタッフを困らせるほどだった。
