【2月15日 AFP】航空業界の国際団体、国際航空運送協会(IATA)は15日、小型無人機(ドローン)が商用飛行の安全を「真に脅かす」存在になりつつあると警鐘を鳴らし、重大な事故が起きる前に規制を導入すべきだと提言した。

 アジア最大の航空見本市「シンガポール・エアショー(Singapore Airshow)」の開幕前日、現地で行われた業界関係者の会議で、IATAのトニー・タイラー(Tony Tyler)事務総長は、ドローン技術がもつ非軍事用途でのさまざまな可能性が見いだされつつある中、ドローンがもたらす脅威は高まりつつあると指摘。

「ドローンでピザが運ばれてくるという構想には私も心躍るが、ドローンが商用飛行における安全性に障害や脅威をもたらすようにさせてはならない」と語り、「ルールや規制を無視し、他者を危険にさらす者に対しては、妥当な規制と実施方策が必要だ」と述べた。

 ドローンの用途が軍事から商用、さらには娯楽用へと拡大するにつれ、専門家らは、そうした無線操縦による飛行装置を規制しなければ、いつか民間機と衝突し重大な結果をもたらすと懸念している。

 IATAのドローン専門家、ロブ・イーグル(Rob Eagles)氏によれば、IATAでは世界中で運用されているドローンの数を把握していないが、飛躍的に増えていることはさまざまな事例から裏付けられるという。

 例えば米連邦航空局(FAA)が昨年、重量25キロまでのドローンの登録を義務付けたところ、12月の開始後1か月間で30万機の登録があった。

 一方、米ニューヨークのバード大学(Bard College)にあるドローン研究センター(Centre for the Study of the Drone)の報告書によると、2013年12月から15年9月までの間に米国の領空内で、有人飛行機とドローンが関与した事故は、921件発生した。このうち36%は「近接遭遇」によるものだという。

 また90%以上の事故は、ドローンが飛行を許可されている最高高度の400フィート(約120メートル)よりも上空で発生しているという。さらに28件の事故では、民間機のパイロットの方が衝突を避けるために回避操作を行わなければならなかった。(c)AFP/Martin ABBUGAO