【2月11日 AFP】米大統領選・共和党候補指名争いで世間をにぎわせている不動産王のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は、そのとっぴな選挙演説や特徴的な髪形で深夜テレビコメディー番組の放送作家らに日々ネタを提供し続けているが、このたびハリウッド(Hollywood)もこれに喰らいついた──。トランプ氏が米ニューハンプシャー(New Hampshire)州での予備選挙を制した直後に、米俳優ジョニー・デップ(Johnny Depp)が同氏を演じるコメディーの伝記映画が突如配信されたのだ。

 同州で実施された予備選挙でトランプ氏の勝利が確実となった9日夜から一夜明けた10日朝、米コメディー動画サイト「Funny or Die」で、偽のドキュメンタリーのストリーミング配信が始まった。

 極秘に制作されたというこの映画は『Funny or Die Presents Donald Trump's The Art of the Deal: The Movie』と題され、動画サイトでは、数十年前にトランプ氏自身が脚本と監督を手掛けたもので長い間忘れられていた「お宝映像」と紹介されている。

 映像は1980年代風のパロディーとなっている。トランプ氏のトレードマークであるかっちりとした髪形としっかりと施された特殊メークにより、演じているのがデップであることは一目ではわからない。テーマソングは、80年代のハリウッド映画で数多くのサウンドトラックを手がけた米ミュージシャン、ケニー・ロギンス(Kenny Loggins)によるものだ。

 映像の中のトランプ氏は冒頭、10歳の時にインドのタージマハル(Taj Mahal)の前に立つ子どもの写真を見て人生が変わったと語る。「その時、いつか自身のタージマハルを買おうと誓った。30年後、そのチャンスを掴んだ。それはカジノだった。それはより豪華だったし、インドよりもっと美しい場所にあった──ニュージャージー(New Jersey)州だ」

 ナレーターとして「お宝映像」を紹介する映画監督のロン・ハワード(Ron Howard)氏は、この50分間の動画について、1987年に出版されたトランプ氏のベストセラー「トランプ自伝: 不動産王にビジネスを学ぶ(The Art of the Deal)」をテレビ映像化したものだと説明。また、1988年9月のゴールデンタイムに放送される予定だったが、直前のアメフット試合の延長で時間がずれ込み、これに怒ったトランプ氏が放送を取りやめ、二度とオンエアしないと誓ったと付け加えた。

 同氏はまた、ビデオテープの入手先について、昨年の夏にアリゾナ(Arizona)州フェニックス(Phoenix)のガレージセールで偶然手に入れたと真顔で語っている。(c)AFP