【2月6日 AFP】国際陸上競技連盟(IAAF)は5日、中国陸上競技協会(CAA)に対し、馬俊仁(Junren Ma)が指導した「馬軍団」の内部で組織的なドーピングが行われていたと主張する書簡について、調査するよう要請した。

 ニュースポータル新浪(Sina)は3日、女子3000メートルと1万メートルで世界記録を持つ王軍霞(Junxia Wang)氏ら10人の選手が、1995年に馬氏からドーピングを強制させられていたと記した手紙に、署名をしていたと報じた。

 栄光の一時代を築いた馬氏の下、王氏は世界選手権の1万メートルで優勝を飾ると、さらに1996年のアトランタ五輪では5000メートルで金メダルを獲得。その他にも3000メートルの元世界記録保持者の張林麗(Linli Zhang)氏、1993年の世界陸上1500メートルで金メダルに輝いた劉冬(Dong Liu)氏らが馬氏の指導を受けている。

 新浪は、「馬が大量の禁止薬物を使うよう強制したことは紛れもない真実」と手紙の一文を引用。使われた薬物については明らかになっていない。

 手紙にはさらに「こういったことを明かすことになって残念です。中国の名誉を傷つけ、勝ち取った金メダルの価値を落としてしまうことを心配しています」と記されていた。

「次世代に同じことが起こってはほしくないので、このような犯罪的な行為は明らかにすべきなのです」

 この書簡は、1997年に「馬軍団の調査(An Investigation of Ma's Army)」を記したジャーナリストに送付されていた。国営・中国中央テレビ(CCTV)によると、この本の初版に記されていなかったドーピング疑惑の部分が、昨年の再版時に盛り込まれたという。AFPは著者のZhao Yu氏を取材したものの、「物書きは本を通して語る」とコメントを拒否した。

 IAAFはこの日、「この書簡が本物であるかを立証することが先決である」と声明を発表している。(c)AFP