【2月6日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創始者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者(44)がスウェーデンと英国による恣意(しい)的な拘束下に置かれてきたと国連(UN)の作業部会が判断したことを受け、アサンジ氏は6日、身を寄せている英ロンドン(London)のエクアドル大使館のバルコニーに姿を現し、喜びを語った。

 アサンジ容疑者は自らが否認しているスウェーデンでの性的暴行容疑をめぐる身柄引き渡しを回避するため、12年から在英エクアドル大使館に身を寄せてきたが、国連人権理事会・恣意(しい)的拘禁に関する作業部会(United Nations Working Group on Arbitrary Detention)は5日、アサンジ容疑者がスウェーデンと英国による恣意的な拘束下に置かれてきたとの判断を示し、両国に賠償を勧告する判断を下した。

 これを受け、アサンジ容疑者は同日、スーツ姿でエクアドル大使館のバルコニーに現れ、集まっていた報道陣と大使館外にいた少数の支持者らに「なんと素晴らしいことだろう。否定しようのない勝利だ。歴史的重要性のある勝利だ」と語った。

 アサンジ容疑者はエクアドル大使館に亡命を求めて以降、公の場に登場することはまれだったが、笑顔で目を細めながら国連の判断が書かれた文書のコピーを振りかざした。

 10年に米国の軍事と外交関連の機密文書を大量に暴露したウィキリークス創始者の登場を期待し、報道陣や支持者らは早朝から大使館前で待ち構えていた。集まった支持者らは20人ほどの少数で、「真実は決して沈黙させられてはならない」「アサンジ解放を」などと書かれたプラカードも見られた。アサンジ容疑者に対しどこからか「もう5年間そこにいるつもりか?」とやじが飛ぶと、支持者らは「誰かそいつを黙らせてくれ」とやり合った。

 駆け付けた著名な人権活動家ピーター・タッチェル(Peter Tatchell)氏は「国連の判断はジュリアン・アサンジ氏が正しいことの証明だ。彼は起訴もされずに5年間、恣意的な拘束下にある。同氏の人権の侵害だ。英国はアサンジ氏に亡命する権利があることを認めなければならない」と語った。(c)AFP/Jacques KLOPP