【2月6日 AFP】昨年のラグビーW杯イングランド大会(Rugby World Cup 2015)で、プールステージ3勝という健闘を見せたラグビー日本代表。しかし、そこからのさらなるステップアップを目指すなかで、その信じられないような成功がもろ刃の剣となるかもしれない。

 南アフリカ代表戦の驚きの番狂わせで、万年弱小チームとみられていた日本は、世界のラグビーにしっかり足跡を刻んだ。今後は自国開催となる2019年大会(Rugby World Cup 2019)に向け、過去に後塵を拝してきた野球やサッカーといった人気スポーツの牙城を突き崩し、確かなファン層を確立するという課題が待ち受けている。

 エディー・ジョーンズ(Eddie Jones)前ヘッドコーチ(HC)の下、8強入りまであと一歩に迫った戦いから数か月が過ぎ、日本ラグビーフットボール協会(JRFU)は3日、記者会見を行った。そこで坂井典幸(Noriyuki Sakamoto)専務理事は、「W杯で世界への新しい扉が開かれた。2019年大会では、ベスト8、ベスト4を視野に入れたい」と話した。

 それだけの壮大な野望を抱く以上、代表が今後も上昇曲線を描いて、W杯後のブームを一過性で終わらせないよう努力するとともに、ラグビーをビジネスとしてとらえる必要がある。早稲田大学(Waseda University)スポーツ科学学術院の原田宗彦(Munehiko Harada)教授はそう語る。

 原田教授は、「19年にピークが幸い来る。そこまではできるかな。その後がどうなるか。いつまで続くか保証はできない」と話している。

「ここからはスポーツビジネス、マーケティング。ファンとの関係性と高めたり。チームとファンの。毎回来たファンをすごく満足させると。価値作りです。スポーツビジネスとして。チケットを売る専門家を使ったり。そういう段階に来ている」

 W杯を2度制している南アフリカ相手の34-32の金星は、W杯史上最大の番狂わせと言われ、世界のラグビーに衝撃を与えたが、日本でも眠い目をこすりながらテレビの前で代表に声援を送る、新たなファンを大量に生み出した。

 日本としては、南アフリカ戦の勝利は、1991年大会のジンバブエ代表戦以来となるW杯2勝目。長らく苦難の時を過ごしてきただけに、その味は甘美だった。

 しかし、大会後にジョーンズHCからブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)のバトンを受け継いだニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフ(Jamie Joseph)HCは、前を見ることが肝心だと念を押し、「どんなサクセスストーリーでも、大切なのは次の一歩です」と話している。

 日本にはまだ、本当の意味でのラグビーのプロリーグが存在していない。ジャパンラグビートップリーグは企業傘下の16チームで構成されており、プロの選手、そして親会社で働くアマチュア選手が混在している。