【2月3日 AFP】胎児の先天性異常との関連が疑われている感染症「ジカ熱」が中南米を中心に広がっていることを受け、オランダのNGOが2日、ジカウイルスに感染した妊婦に対し、流産を誘発する人工妊娠中絶薬を無料提供する国際的な取り組みを始めたことを明らかにした。感染した妊婦が危険な中絶に踏み切らないようにするのが狙いだ。

 蚊が媒介するジカウイルスについては、世界保健機関(WHO)が1日、頭部と脳が異常に小さい状態で生まれる「小頭症」の新生児が南米で急増していることとの関連が「強く疑われる」として、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。

 NGO「ウィメン・オン・ウェブ(Women on Web)」の創設者で代表を務めるレベッカ・ゴンペルツ(Rebecca Gomperts)氏はAFPの取材に、ジカ熱が急速に広がっているのは人工中絶が厳しく制限されている国だと指摘し、危険な中絶を行う女性が増加しかねないと非常に憂慮していると表明。「女性の健康と命を気遣っている私たちとしては、女性たちが薬剤による安全な人工妊娠中絶法を利用できるようにしたい」と説明した。

 ゴンペルツ氏によると、団体のサイト「www.womenonweb.org」では、おなかの中の子どもがジカウイルスの影響を受けるかもしれないという不安を抱いている妊娠中の女性を対象に、無料相談を行っている。さらに、条件が合えば人工妊娠中絶薬を服用説明書と一緒に自宅に郵送するという。

 ゴンペルツ氏は、薬剤による人工妊娠中絶について、2種類の錠剤を組み合わせて服用することで外科手術を受けずに妊娠12週までの中絶に対応できると説明している。(c)AFP