■下品さと攻撃性、新たな高みに

 トランプ氏には性差別的な発言も目立つ。中でも、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏に対しては、2008年の民主党指名争いでバラク・オバマ(Barack Obama)現大統領に「シュロング」されたため敗れたと言い放っている。「シュロング」とは、ユダヤ人の言語であるイディッシュ語で「男性器」を意味する言葉だ。本来は名詞の「シュロング」を、「負かす」という意味の動詞に使ったとみられる。

 このような品位を傷つける言葉が広く使われていることに対し、ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)のマーク・リーバーマン(Mark Liberman)教授(言語学)は懸念を示している。

「ニューヨーカー(New Yorker)」のような全国誌で「放送禁止用語」が使われ、他方ではケーブルテレビやインターネットが下品な言葉に対して米国人をひどく鈍感にしている。

「こうした言葉の多くは、その言葉の持つインパクトを大きく失っているため、気に留める人は実際のところほぼいない。いたとしても(トランプ氏の)歯に衣着せない、直接的な言葉が気になるといった程度なのだろう」(リーバーマン氏)

 いわゆる「マチズム」も、同氏の選挙キャンペーンの一部をなしている。トランプ氏の単刀直入な話しぶりは、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領や過激派戦闘員を前にしても「強さ」を印象付ける助けとなっている。

 これまでの大統領選でも、口汚いののしり合いはあった。しかし、今年の大統領選における下品さと攻撃性は、新たな高みに到達した感がある。事実、今回多くの候補者に強く見られるのは、相手と同様の手段で対決しようとする、より攻撃的な姿勢である。(c)AFP/Ella IDE