■人々に与えた最大の影響とは

 事実、ボウイさんは、「ジギー・スターダスト(Ziggy Stardust)」や「トム少佐(Major Tom)」といったキャラクターを通して自らを再創造し、その魅力を高めることに成功している。

「ジギー・スターダスト」をあがめていたイアン・カーティス(Ian Curtis)が率いたジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)をはじめ、レディオヘッド(Radiohead)やスウェード (Suede)、デュラン・デュラン(Duran Duran)などの多くの英国のグループは、1970年代後半からの「ニューウェーブ」なボウイに大きな影響を受けた。

 米ハードロックバンドのキッス(Kiss)もこの偉大なアーティストから影響を受けたグループの一つで、彼らはグラムロック時代のボウイさんからメイク以外にもさまざまなことを学んだとしている。衣装を大胆に変化させるレディー・ガガ(Lady Gaga)にもボウイさんからの影響が色濃く見ることができる。

 中でも、奇抜であると同時にジャンルにとらわれることのないアイスランド人歌手のビョーク(Bjork)には、ボウイさんと重なる部分を最も多く見ることができるかもしれない。

 ボウイさんが人々に与えた最大の影響は、アーティストというものがいかにルールを書き換えていけるのかという見せ方にあったといえるだろう。「彼は因襲を打ち破り、真にオリジナルだった」と英紙ガーディアン(Guardian)の音楽評論家キャロリン・サリバン(Caroline Sullivan)氏はAFPに語った。

「大半のロックスターはどれか1つの型に倣うだけだが、彼は後にも先にも唯一無二の存在だ」

「彼は決して自分の信念を曲げなかった」と、先月、ラジオのドキュメンタリー番組のためにボウイさんが子ども時代を過ごした英ロンドン(London)南部郊外にある質素な家を訪ねたというサリバンは言う。「自分自身と英国人らしさに非常に忠実であり続けた。常に英国人らしく、常にエキセントリックだった」

 ボウイさんの楽曲は多くのミュージシャンにカバーされている。そのうちの一つ、「Rebel Rebel(愛しき反抗)」は、世界中のパブバンドやガレージバンドにとってはもはや「定番」の曲となっている。楽曲カバーの中では、ニルヴァーナによる「The Man Who Sold The World(世界を売った男)」のアコースティックバージョンやブロンディ(Blondie)の「Heroes(ヒーローズ)」が最も印象的だ。(c)AFP/Anthony LUCAS / Fiachra GIBBONS