■「ドラッグが崩壊させる世の中」

 グスマン受刑者はメキシコ中部アルティプラーノ(Altiplano)にある重警備の刑務所に収容されていたが、昨年7月に脱獄。刑務所に入っていたのはわずか17か月間だった。

 ローリング・ストーン誌には、黒いシャツを着たペンさんが同受刑者と握手している10月2日付の写真が掲載された。当時、2人の周りには、麻薬カルテルのメンバーら100人以上が取り囲んでいたという。

 グスマン受刑者は、カメラの前で後日インタビューを行うことに同意したが、これ以降、ペンさんと直接会うことはできなくなったため、ビデオでペンさんの質問に答えていた。

 同誌がネット上に公開した2分間の動画の中で、ひげをそり青いシャツを着たグスマン受刑者は「ドラッグが崩壊させる世の中だ」とスペイン語で話し始め、「不幸なことに、俺は他の道がない環境で育ったし、今も生きていくには他の選択肢がない」と述べた。

 また、麻薬中毒や麻薬の普及に対する責任を否定し、そうした非難を「的外れだ」と一蹴。「私がいなくても、麻薬取引は減っていない」と指摘している。

 グスマン受刑者はテキーラを飲みながら、「私は、ヘロインやコカイン、マリフアナ(乾燥大麻)などを世界中の誰よりも多く供給している」「潜水艦や戦闘機、トラックやボートもたくさん所有している」と、犯罪への関与を認める驚くべき話をペンさんに語った。

 ペンさんによると、グスマン受刑者は獄中で映画化のオファーをいくつも受けたというが、同受刑者は、自らの手で製作することを選択したとされる。

 ペンさんはこの面会の前に、自分の動きがメキシコや米当局に追跡されるだろうと予測していた。事実、メキシコの検事当局者は匿名を条件に、ペンさんの面会がグスマン受刑者の身柄拘束につながったとAFPに語っている。(c)AFP/Becca MILFELD