【1月12日 AFP】刑務所を脱獄し逃亡中だったメキシコの麻薬王「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者(58)とメキシコのジャングルで秘密裏に面会し、長時間のインタビューを行った米俳優ショーン・ペン(Sean Penn)さん──昨年10月の面会を実現させるにあたっては、ハリウッド映画のスパイものに出てきそうな計画が練られていた。インタビューの内容は先週、同受刑者が再び拘束された翌日に公開された。

 世界的な指定手配犯とペン氏の面会の記事は、9日に米誌ローリング・ストーン(Rolling Stone)に掲載された。グスマン受刑者はこの前日、メキシコ北西部シナロア(Sinaloa)州の沿岸都市ロス・モチス(Los Mochis)で実行された軍隊の急襲作戦により身柄を拘束されている。

 ペンさんは、数か月にわたる水面下での交渉の末、同受刑者の信頼を獲得。取調室の外では初めてとなる長時間の直接インタビューが許され、その後も電話やビデオを通じてインタビューを続けた。

「世の中がここまで関心をもった容疑者は、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)以来だ」と、ペンさんはローリング・ストーン誌に書いている。

 社会活動家で米国の麻薬戦争を声高に批判しているペンさんは、メキシコ人女優のケイト・デル・カスティーリョ(Kate Del Castillo)さんの助けを得てこの面会を実現させた。隣国メキシコをむしばむ麻薬犯罪に米国人として責任を感じ、グスマン受刑者を探さずにはいられなかったという。

「米市民として、わが国政府やメディアが描く公然の敵、つまり麻薬犯罪の姿と矛盾するかもしれない実態を探ることに関心を抱いている」と、ペンさんは述べた。

 また密林地帯での面会では、グスマン受刑者はペンさんを温かく迎え入れたとされ、「彼は私を引き寄せ『親友の』ハグをしてくれた。私の目を見て、私には速すぎるスペイン語で長いあいさつをしてくれた」という。