【1月9日 AFP】英イングランド（England）北部リーズの刑事法院（Leeds Crown Court）は8日、自分の子供を連れてイスラム過激派組織「イスラム国（IS）」支配地域に移住する目的でシリアへの渡航を図ったとして、英国生まれの女（34）に5年4か月の禁錮刑を言い渡した。

　女の名前は法的な理由により公表されていないが、厳格なシャリア（Sharia、イスラム法）の下で暮らすことを望み、昨年10月、ISが実質上の「首都」とするシリアのラッカ（Raqa）に行く目的で自分の子供を連れ去った。夫と両親が警察に通報し、トルコのイスタンブール（Istanbul）で同国の治安当局に拘束された。16歳未満の子供2人を誘拐した罪状2つを認めたという。

　同刑事法院のロドニー・ジェムソン（Rodney Jameson）判事は、「ラッカは現在、そして2015年10月当時も、紛争の中心地であり、当時も現在もISの支配下に置かれている」と述べた。

　さらに、「ISが暴力を用いて自分たちの意図するところを強制していることは疑いの余地がない。こうした暴力には、日常的な身体の切断や性的暴行、殺人が含まれる。あなたは教育を受けた知的な女性で、そのことを承知しているはずだ」

「あなたの子供たちは、ISの最近の宣伝ビデオで子供たちがしているような恐ろしい行動に、全面的かつ積極的に参加していたかもしれないし、子供たち自身がその被害者になっていたかもしれない」と付け加えた。

　この女は英国に生まれてパキスタンで育ち、その後イングランド北部に帰国。徐々に宗教への傾倒を深め、昨年8月に金融関係の仕事を辞職、子供たちを連れてシリアへの渡航を試みたという。

　ジェムソン判事は、「あなたのしたことは、自分の子供に対するひどい裏切り行為だ」と述べ、女に禁錮5年4月の刑を下した。(c)AFP