■市長100人、職員1000人が犠牲に

 ロス・ロホスは、モレロス州および隣接するゲレロ(Guerrero)州で、麻薬組織ゲレロス・ウニドス(Guerreros Unidos)と残忍な抗争を展開している。

 ゲレロス・ウニドスは、2014年9月にゲレロ州で行方不明となった学生43人を殺害した疑いがもたれている組織。検察当局はゲレロス・ウニドスが、学生たちをロス・ロホスと間違えたものとみている。

 当局によれば、テミスコ市を主に縄張りとしているのがロス・ロホスで、ゲレロス・ウニドスは隣のクエルナバカ(Cuernavaca)市を牛耳っている。クエルナバカはメキシコ市から週末を楽しみにモレロス州を訪れる人々の玄関口となっているが、同時に犯罪がはびこってもいる。就任から数時間後に殺害されたモタ市長には、多くのことを成し遂げる時間はなかった。

 テミスコ市とモレロス州は現在、モタ市長の喪に服している。テミスコ市役所の前には半旗の国旗が翻り、壁には大きな二つの黒いリボンと花輪が飾られている。

 メキシコ地方自治体連合によると、メキシコ全土では過去10年間に、100人近い市長と1000人以上の自治体職員が襲撃の犠牲となっている。「正しいことをしようとしても、同じ考えを共有しない人たちと対峙(たいじ)するとき、政治家として働くのは危険だ」と、ある労働組合の書記長は語った。(c)AFP/Leticia PINEDA