【1月6日 AFP】中国の首都・北京(Beijing)市の住民は昨年の半分近くを、国家基準を満たさない空気を吸って過ごしていたことが、中国国営メディアの5日の報道で明らかになった。市民の怒りが広がっているスモッグ問題への対応に、同市は苦慮している。

 北京市環境保護局(Beijing Environmental Protection Bureau)発表の数字を引用した、中国国営英字紙・環球時報(Global Times)の報道によると、2015年の同市の「大気汚染日」は179日に上り、うち46日が高濃度汚染日とみなされた。

 さらに、肺に深く入り込む有害な微小粒子状物質「PM2.5」の大気中濃度の年間平均は、1立方メートル当たり80.6マイクログラムに達したという。世界保健機関(WHO)はPM2.5の推奨暴露限界値を年間平均10マイクログラムと定めているが、これはその8倍以上に匹敵する。

 この「PM2.5」の大気中濃度の年間平均は前年と比べて6.2%減少しているが、依然として、WHOほど厳しくはない同国国家基準と比較しても1.3倍に相当する状況だった。

 昨年の北京市の大気汚染は、それまでの年と比較すれば軽度だったものの、12月になって4段階の大気汚染警報のうち最高水準に当たる「赤色警報」を史上初めて発令した。これを受け、市当局は数千の工場に生産の中止や削減を命令したり、市内を通行する自家用車の車両数を半数に制限したりする対策を講じた。

 さらに市は同月、2回目の赤色警報を発令したが、その後のクリスマス前後に市を相次いで襲ったスモッグには無反応だった。(c)AFP