【1月5日 AFP】地球を闊歩(かっぽ)した史上最大の類人猿が10万年前に絶滅したのは、常食としていた森林の果実が気候変動の打撃を受けた後、サバンナの草に食性を切り替えられなかったことが原因であることがこのたび示唆された。

 これまでに存在した中で、映画『キングコング(King Kong)』に登場するキャラクターに最も近いとされるこの大型類人猿「ギガントピテクス(Gigantopithecus)」は、大まかな推算によると、体重が成人男性の5倍で、身長が3メートルに達した可能性が高いという。

 この類人猿は、100万年前の全盛期には、中国南部と東南アジア大陸部の亜熱帯森林地帯に生息していた。だが現在のところ、ギガントピテクスの解剖学的形状や習性については、ほぼ何も分かっていないのが実情だ。

 化石記録としては、下顎骨の一部が4個と、恐らく1000個ほどの歯しかない。1930年代に見つかった最初の歯の化石は、香港(Hong Kong)の薬局で「竜の歯」として販売されていた。

 独テュービンゲン大学(University of Tubingen)の研究者、エルベ・ボヘレンス(Herve Bocherens)氏はAFPの取材に、これらのわずかな化石は「この動物が二足歩行か四足歩行かや、体の比率がどのようになっていたと考えられるかなどについて述べるために不十分であることは明らかだ」と語った。

 また、肉食性だったか、草食性だったのか。同地域に生息していた先史時代のジャイアントパンダと同じく、タケばかりを好んで食べていたのだろうかなど、その食性についても謎となっている。

 他の動物群から脅かされることはほとんどなかったであろう、この大型動物が絶滅した理由も、これらの謎を解明することで明らかになる可能性がある。