■街を光で満たして気分アップ

 北欧の人々はクリスマス前の約4週間のアドベント(Advent、待降節)には、町じゅうを白い光のイルミネーションで飾りたて、気分を明るくする。

 ストックホルムでは11月末から、住宅や店舗から会社事務所まで、窓という窓に星やクリスマスキャンドルの形をした電飾が輝き、軒先や木々にも無数の小さなライトがきらめく。市中心部の広場にはトナカイやヘラジカをかたどった巨大なイルミネーションが飾られ、人々は自然光を増幅してくれる初雪の到来を待ち望む。

 スウェーデン人の光への憧れは、12月13日の「聖ルシア祭(Saint Lucia Day)」で最高潮に達する。ルシアの語源は「光」を意味するラテン語。イタリアの殉教者にちなんだ聖ルシア祭では、国内各地で地元の「聖ルシア」を選ぶ少女たちのコンテストが催され、選ばれた少女たちが祭り当日にろうそくをともした冠と真っ白なロングドレスを身に着け、クリスマスキャロルを歌う。

 このように光を渇望するスウェーデンの人々が、クリスマスや新年の休暇を日光に満ちあふれたタイやスペイン領カナリア諸島(Canary Islands)で過ごそうと逃避行を図ったとしても、不思議ではない。毎年30万人以上のスウェーデン国民が、この時期に海外旅行へ出かけるという。(c)AFP/Camille BAS-WOHLERT