【12月31日 AFP】今季限りでの現役引退を表明しているロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)のコービー・ブライアント(Kobe Bryant)が、28日のシャーロット・ホーネッツ(Charlotte Hornets)戦後にキャリアの始まりを振り返り、1996年のNBAドラフトで受けた扱いが、自身の勝利に対する執念を生む一因になったと明かしている。

 高校を卒業したばかりの17歳の少年だった1996年、ブライアントはデイブ・コーウェンス(Dave Cowens)ヘッドコーチ(HC)が率いていた当時のシャーロット・ホーネッツ(現在のニューオーリンズ・ペリカンズ)から全体13位で指名を受けたものの、その直後に屈辱的な扱いを受けた。

 現役最後になるであろうシャーロット(Charlotte)での試合を終えたあと、ブライアントは「シャーロット側が自分の獲得を望んでいなかった。コーウェンス氏からいらないと言われたんだ。ここでプレーするかさえ、自分で決められなかった」と語った。

 コーウェンス氏は現役時代、ボストン・セルティックス(Boston Celtics)などでプレーしたNBAの元スター選手だった。ブライアントは、その人物からそっけない扱いを受けたことが、レイカーズを通算5度のファイナル制覇へ導く勝者のメンタリティーを形成するのに一役買ったとしている。

「自分はバスケットボールを見て育った。デイブ・コーウェンス氏のことは知っていたし、とても期待していたんだ。だけど、そんな言われ方をされたら『ああ、そうなのか』となる。それであっという間に、笑顔の少年から闘争本能の塊に変わることができたんだ」

 ドラフト後、ブラデ・ディバッツ(Vlade Divac)とのトレードでレイカーズに移ったブライアントは、5つのチャンピオンリングを手に入れただけでなく、ファイナルMVP2回、得点王2回、17度のオールスターゲーム選出など、輝かしいキャリアを築いてきた。

 ホーネッツはブライアントのキャリアに敬意を表し、28日の試合前にはオーナーのマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏からのビデオメッセージも流した。そして観客数1万9632人は、タイム・ワーナー・ケーブル・アリーナ(Time Warner Cable Arena)で開催されたレギュラーシーズンの試合としては史上最多記録となり、ブライアントは満員の観衆から万雷の拍手を浴びている。

 試合はブライアントがチーム最多の20得点を記録したものの、レイカーズは98-108で敗戦。それでもブライアントは、観客の声援には心を動かされたと話している。

「どこの町でもこんな感じなんだ。ありがたいことにね。でもここは少し違う。ここは私がドラフトで指名された町だ。旅はここから始まった。ほんのわずかの間しかいられなかったけれど。でも、だからこそ重みが増す」

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