【12月31日 AFP】中国政府が進める改革への国民の関心を高めようと国営テレビが政府をたたえるラップ曲のアニメーション動画を放映したところ、国内のネットユーザーから散々な非難を集める結果となってしまった。米ヒップホップグループのパブリック・エナミー(Public Enemy)やラッパー、スヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)に匹敵しうるラップとはいかなかったようだ。

 ラップ動画は、政府による改革の推進組織「中央全面深化改革領導小組(Central Leading Group for Comprehensively Deepening Reforms)」の創設2周年を記念して中国中央テレビ(CCTV)が放映したもの。政府内でも上部に置かれたこの組織についてラップで説明するのは、ハードルの高い挑戦だったことだろう。

 動画ではアニメの習近平(Xi Jinping)国家主席が何度も登場。習主席の演説から「国民の期待を行動に変えよう」「剣を高く掲げ汚職と闘おう」といった肉声が、ビート音に合わせたラップ調にサンプリングされている。

 ラップを歌っているのはCCTVの社内音楽プロデューサーの武文多(Wu Wenduo)氏。「改革組織は生まれて2年、たった2年でたくさん達成」「ハエや老トラ、ずるギツネ、みんなどんどん捕まえろ」などと歌う。

 だが、ネットの反応はほとんどが手厳しい。30日には、未解決な社会問題が山積しているのに改革実績を並べ上げて自画自賛しているだけだと非難するコメントが相次いだ。

 中国のマイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」で、あるユーザーは「最近のニュースは良いことだけ報じて悪いことはない気がするのは、なぜだろう?」と疑問を提起。「スモッグにかすんだ空、日用品は値段が倍増するのに給料は上がらない。市民は困窮している」「さっさとうせろ。少しはまともな仕事をやれよ」などと改革組織を批判するコメントもみられた。(c)AFP