【12月31日 AFP】2015年のラグビー界では、連覇でリッチー・マッコウ(Richie McCaw)主将の花道を飾ったオールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)、南アフリカ代表から金星を挙げたブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)の健闘など、W杯イングランド大会(Rugby World Cup 2015)の話題が中心となった。

 決勝こそ、強豪中の強豪であるニュージーランド対オーストラリアという、順当な顔合わせとなったイングランド大会だが、そこへ至るまでの道のりでは過去7大会を上回る数の番狂わせが起こった。

 過去のW杯では1次リーグは結果が予想できてつまらないという不満の声が聞かれ、今大会もいつもの敗退国が苦しい戦いを強いられるかに思われたが、第1週からW杯史上最大の波乱が起こった。

 日本代表が、W杯を2度制している南アフリカを34-32で破り、自国開催となる2019年大会(Rugby World Cup 2019)での躍進に期待を抱かせるプレーを見せたのだ。アジア王者の日本だが、これまでのW杯では24試合を戦い、勝利はわずかに1回しかなかった。

 それでも、エディー・ジョーンズ(Eddie Jones)ヘッドコーチ(HC)に率いられた日本は、主将のリーチマイケル(Michael Leitch)のトライなどで10-7とリードを奪い、今大会は違うというところを序盤からうかがわせた。

 それでも、先発15人のテストマッチ出場数が合計851キャップに上るなど、経験で上回る南アフリカも底力を発揮。リードして前半を終え、さらにアドリアーン・ストラウス(Adriaan Strauss)のトライで29-22とした段階では、日本の健闘もここまでかに思われた。

 しかし日本は、五郎丸歩(Ayumu Goromaru)が自らのトライで得たコンバージョンを成功させて10分を残して同点に追いついた。

 すると南アフリカはペナルティーキック(PK)で再び勝ち越しに成功すると、さすがにこれで勝負は決まったかに見えた。

 だが、終了間際には劇的な展開が待っていた。残り時間がほとんどないなか、PKではなくスクラムを選択した日本は、ボールをワイドに展開すると、最後は交代で入っていたカーン・ヘスケス(Karne Hesketh)がコーナーぎりぎりへトライを決め、奇跡的な勝利をつかんだ。

 ワールドラグビー(World Rugby)のブレット・ゴスパー(Brett Gosper)最高責任者は、試合について、「次のW杯(日本大会)、そしてその後の商業的成功に向けて手はずが整った。その資金が日本のラグビー界に投資されることになることもあり、ラグビーの成長という意味で素晴らしいことだ」と話している。

 日本はその後、サモアと米国も破ったが決勝トーナメント進出はならず。史上初めて、W杯の1次リーグで3勝しながら8強入りを逃したチームとなった。