【12月30日 AFP】中国で先週末に成立し議論の的となっている反テロ法によって、海外での対テロ軍事作戦が合法化されたことが、公表された同法の内容から明らかになった。

 中国当局は、イスラム教徒が多数を占める新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)に関連する暴力行為を、世界中で高まる過激派への懸念に結びつけようと試みている。

 国営新華社(Xinhua)通信が公表した反テロ法の条文では、「関係国」が合意した場合、「対テロ活動を遂行するために人員を国外へ派遣することができる」と定めている。派遣が認められるのは、人民解放軍(People's Liberation Army)や人民武装警察部隊(People's Armed Police)、治安機関の職員などだという。

 中国は近年、表舞台に立たずに好機をうかがう「韜光養晦(とうこうようかい)」と呼ばれる故鄧小平(Deng Xiaoping)氏流の外交・軍事政策から徐々に距離を置き始めている。また、軍の活動範囲を世界各地で拡大させ、遠洋での軍事作戦を展開できる「外洋海軍」の創設を模索。2012年には同国初の空母「遼寧(Liaoning)」を就役させた。

 また中国政府は今年11月、アフリカのジブチに後方支援の拠点を建設して、国連(UN)の自国部隊や、周辺地域で対海賊任務の支援に利用すると発表した。中国はアフリカ大陸での平和維持活動における最大の援助国となっており、無法地帯と化したソマリア沿岸海域でのパトロールを支援している。

 一方で中国政府は長い間、他国に対する内政不干渉を掲げてきたが、治安当局高官は2年前、中国人船員13人の殺害に関与したとされるミャンマーの麻薬王を標的とした無人機攻撃を政府が検討していたことを明らかにした。今回成立した新法により、11月に起きたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」による中国人殺害といった事態に、同様の措置を取ることが可能となった。(c)AFP