【12月29日 AFP】シリア内戦の激戦区となっている3つの町で28日、国連(UN)が支援する異例の停戦合意の一環として、戦闘員や市民ら数百人が隣国のレバノンやトルコに避難した。

 バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権は過去にも数回、反体制派との停戦に応じているが、この日の避難計画は同国の5年近くにわたる内戦で最も周到に準備されたものの一つとなった。

 これまでに25万人以上が死亡し、数百万人が家を追われたこの内戦について、国際社会が終結を目指す努力を続ける中、国連は今回実現したような地域レベルでの停戦合意を推し進めてきた。

 この日は9月に締結された6か月間の停戦合意の一環として、激戦区3か所から、負傷者を含む戦闘員や市民450人以上が避難し、隣国のレバノンやトルコに入った。このような避難計画に両国が関わったのは初めて。

 現地で取材に当たっているAFP記者によると、シリア国境地帯における反体制派の最後の拠点となっているザバダニ(Zabadani)から、反体制派戦闘員や市民ら少なくとも120人が国境を越え、隣国レバノンに入った。

 また在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表の話では、政権側が制圧していた北西部の2つの村から、少なくとも335人がトルコ入りした。

■反体制派が撤退した中部ホムスで暴力行為相次ぐ

 一方、かつて「革命の首都」と呼ばれていた中部ホムス(Homs)では今月、シリア内戦で結ばれた中で最も重要なものの一つとなった停戦合意に基づき、反体制派が掌握していた最後の地区から撤退したが、市内では以後、暴力行為が相次いでいる。

 国営シリア・アラブ通信(SANA)が報じたところによると、28日には爆弾による大規模な爆発が複数発生し、少なくとも19人が死亡、数十人が負傷。一方、シリア人権監視団は少なくとも32人が死亡したと伝えている。(c)AFP/Layal Abou Rahal with Rim Haddad in Damascus