【12月26日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)は25日、国民に向けたクリスマスのメッセージを発表し、2015年には襲撃事件が幾つも起きたが善は悪に勝ったと強調するとともに、難民の窮状に注意を喚起した。 

 バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)で事前録画された動画メッセージで、白と銀のドレスを着たエリザベス女王はクリスマスツリーを背景に「今年、世界が暗黒の瞬間を何度も目撃してきたのは事実だ」と述べた上で「だが、(聖書の)『ヨハネによる福音書』には、『光は闇の中で輝き、そして闇は光には勝てない』という素晴らしい希望の一節がある」と語った。

 89歳の女王はまた、イエス・キリスト(Jesus Christ)の生誕にまつわる話を引用し、難民の窮状にも言及。「ヨセフとマリアにとって、馬小屋でのイエスの誕生は理想とは程遠いものだった。その後、事態は悪化し、一家は国から逃亡せざるを得なくなった」「この人間的な物語に世界中のキリスト教徒たちが今も心を動かされるのは、不思議ではありません」と述べた。

 動画の中でエリザベス女王の横に置かれた机には、今年7月に撮影されたウィリアム王子(Prince William)とキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)、ジョージ王子(Prince George)とシャーロット王女(Princess Charlotte)の一家4人の写真と、2005年のチャールズ皇太子(Prince Charles)とカミラ夫人(Camilla, Duchess of Cornwall)の結婚式の写真、女王自身と夫のフィリップ殿下(Prince Philip)の写真が飾られていた。

 多くの英国民にとって、クリスマスの日にテレビの前に集まって昼食を食べながらエリザベス女王の演説を見るのは、七面鳥やクラッカー、クリスマスプレゼントと同様に大切な慣習となっている。

 英王室のクリスマスメッセージは1932年、エリザベス女王の祖父ジョージ5世(king George V)が作家ラドヤード・キップリング執筆の文を読み上げたのが最初。エリザベス女王の初メッセージは1952年で、以来、英王室のドキュメンタリーが放映された1969年を除き、毎年の恒例となっている。(c)AFP