【12月24日 AFP】タイ南部のリゾート地タオ島(Koh Tao)で昨年9月に英国人旅行者の男女が殺害された事件で、タイの裁判所は24日、殺人罪などで起訴されたミャンマー人移民労働者2人に死刑判決を言い渡した。人気観光地としてのタイのイメージを損なったこの事件では、同国の司法制度に対する疑問の声も上がっている。

 ミャンマー人の被告2人は、デービッド・ミラー(David Miller)さん(当時24歳)の殺害と、ハンナ・ウィザーリッジ(Hannah Witheridge)さん(同23歳)に対する性的暴行と殺害の罪で、有罪と判断された。人気ダイビングスポットとして知られるタオ島の浜辺で見つかった被害者2人の遺体は、いずれも暴行を受けた形跡があった。

 サムイ島(Koh Samui)の裁判所で行われた裁判で、判事は判決について「目撃者証言と被告2人のDNA鑑定」から導かれたと説明。ウィザーリッジさんの遺体から両被告の関与を示す法医学的な証拠が見つかったことに言及した。

 両被告はミラーさん、ウィザーリッジさんの殺害をいずれも否認していた。

 両被告は昨年10月2日に逮捕されたが、これに先立ちタイでは、国民にショックを与えた同事件の真相解明を求める当局への圧力が高まっていた。検察側は法廷で揺るぎない証拠があると主張したが、弁護側は、警察の捜査に不手際があったと非難。移民労働者である被告2人がスケープゴートに仕立て上げられたと訴えていた。

 人権団体は、司法制度が富や権力になびきやすいタイで、ミャンマーなど近隣諸国から来て低賃金で働く移民労働者に犯罪の責任を押し付ける傾向がみられると指摘。今回の事件もその1つだと批判している。(c)AFP/Thanaporn Promyamyai, Reuben EASEY