【12月24日 AFP】国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)」は23日、3か月近くに及ぶロシアのシリア空爆で少なくとも200人の民間人が殺害されたとする報告書を発表し、戦争犯罪に当たる可能性があると指摘した。ロシア国防省は「でたらめ」だと強く反発している。

 アムネスティの報告書は9~11月にシリア中部ホムス(Homs)、北西部イドリブ(Idlib)とアレッポ(Aleppo)の各県であったロシア軍の空爆に対象を絞ったもので、一連の攻撃で民間人少なくとも200人、戦闘員十数人が死亡したとしている。

 空爆の中には「軍事目標があるとの証拠もないのに住宅地や医療施設を攻撃するなど、民間人や民間の施設を直接狙ったとみられるものがあり、その結果として民間人の死傷者が出た」とアムネスティのフィリップ・ルーサー(Philip Luther)中東・北アフリカ部長は声明で述べた。

「このような攻撃は、戦争犯罪に当たる可能性がある」とルーサー氏は指摘し、国際法に違反した疑いのある事例については「独立した公平な調査を行うことが必要だ」と訴えている。

 報告書はまた「ロシア当局が、モスクと野戦病院への空爆で民間人に被害が出たことを隠ぺいするため、虚偽の発表をした可能性がある」と指摘。さらに、「国際的に禁止されているクラスター爆弾や無誘導爆弾を人口密集地で使用した痕跡もある」とも言及している。

 ロシア側は報告書の内容に激しく反発。イーゴリ・コナシェンコフ(Igor Konashenkov)国防省報道官は、記者会見で「報告書を精査したが、今回も具体的な情報や新しい情報はなかった。陳腐な決まり文句とでたらめばかりだ。どれも、われわれがこれまで何度も白日の下にさらしてきたものだ」と反論した。(c)AFP