■リスク上位に格付け

 さらに研究チームは「地球近傍の小惑星の計数観測だけに基づく地球外天体衝突リスクの評価では、その性質と規模が過小評価される」と主張する。

「ケンタウルス族天体1個の質量は、これまでに発見されている、地球に衝突する可能性がある小惑星(地球横断小惑星)全部の合計を上回る」と研究チームは指摘している。

 論文の共同執筆者、バッキンガム大学のビル・ネイピア(Bill Napier)氏は「ケンタウルス族天体を見つけるためには、地球周辺の近傍領域を越えて、木星軌道の先にまで監視を広げる必要があることを、今回の研究は示唆している」と話した。

 研究チームは論文で、核戦争で起きる火災旋風で放出されると考えられる煤煙が気候に及ぼす影響に関する仮説に言及、「ケンタウルス族天体が地球に到達すると、『核の冬』の研究で推測されている規模に匹敵する大量の塵と煙が大気中に放出される恐れがある」と記している。

「したがって規模という点からみると、ケンタウルス族天体の衝突は、自然に実在するリスクの中で上位に格付けされると思われる」と研究チームは述べている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux