【12月22日 AFP】英国放送協会(BBC)は21日、国際陸上競技連盟(IAAF)の幹部が第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)に先立ち、ドーピング違反が見つかったロシア人選手について名前の公表を遅らせるように画策していたと報じた。

 BBCがウェブサイトで伝えた記事によれば、IAAFの副事務局長を務めるニック・デービス(Nick Davies)氏が送信したとされる電子メールの存在が発覚。その内容は、大会が終了するまで、薬物を使用したロシア人選手の名前を公表しないという計画を相談するものだったという。

 デービス氏が送ったとされるこの電子メールは、ラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)前会長の息子で、その当時IAAFのマーケティングコンサルタントを務めていたパパ・マッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)氏宛てのものだった。

 2013年に開催された世界陸上の数週間前に送られていた問題の電子メールでデービス氏は、「棚に隠されたロシアの白骨」について、反ドーピング機関と話し合いを持つ必要があると記していたとされている。

 デービス氏はその中で、すでに違反が発覚しているロシア人選手はモスクワ大会で代表チームに「選ばれてはならない」とし、この件は当時ロシア陸上競技連盟(ARAF)の会長とIAAFの財務責任者を務めていたワレンティン・バラフニチェフ(Valentin Balakhnichev)氏に明確にしておくべきだと強調していた。

 記事によればデービス氏は、「違反した選手が出場しないのであれば、名前の公表は大会終了まで待ってもよい」と提示していたという。

 IAAFは大会後の4か月間で、計16人のロシア選手に処分を言い渡した。

 ARAFは先月、「国ぐるみの」ドーピング問題で暫定資格停止処分となっており、リオデジャネイロ五輪をわずか9か月後に控え、IAAFは陸上界の信頼回復が急務となっている。(c)AFP