【12月15日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は14日、南西部カールスルーエ(Karlsruhe)で開かれた自身が率いる保守政党、キリスト教民主同盟(CDU)の党大会で演説し、同国に大量流入する難民数を削減すると約束する一方で、この世で最も助けを必要とする人々への門戸を閉ざすつもりはないと訴え、出席した党員らから拍手喝采を受けた。

 ドイツには、今年だけで亡命申請者が約100万人到着すると見込まれている。この問題をめぐり、CDU内部では何週間も対立が続いてきたが、メルケル首相は節度ある寛容という中道的見地の下に自党をまとめ上げることに成功した。

 首相は、欧州随一の経済大国であるドイツには、絶望のふちに立たされた人々、特に内戦で荒廃したシリアの人々に手を差し伸べ続けなければならないという「道義上および政治上」の義務があると指摘し、「わが国はこれからも人道的責任を果たしていく」と誓った。

 一方で首相は、市民の間に広がる懸念についても真摯(しんし)に受け止めると話し、「ドイツのような強い国であっても、これほど多くの難民が集まれば長期的には圧倒される思いを感じることもあり得る」「だからこそ、到着する難民数を明確に減らしていきたいと考えており、必ずそうしていく」と明言した。

 ただしメルケル氏は、受け入れる亡命申請者数に上限を設けるべきだとする党内部からの声については、非倫理的で憲法に違反する提案だと反論。4時間に及ぶ議論を経て、減らしていく難民の具体的な数については触れないという妥協案で圧倒的多数の賛成を受けた。

 この日の党大会は、15年前にメルケル氏が党首に就任して以来、最も重要な大会の一つになったとみられている。(c)AFP/Deborah COLE