■「イスラム教徒を殺したい」

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領はカリフォルニア州での銃乱射事件を受けて、国民に対しイスラム教徒を差別しないよう呼び掛けると同時に、イスラム教徒らに対し、過激思想に「言い逃れせずに立ち向かっていく」ためのさらなる行動を要請した。

 トランプ氏は今回の発言の前にも、2001年9月11日の米同時多発テロの際にジャージーシティーのアラブ系住民が喜びをあらわにしていたとの主張を、これが事実ではなかったことを示す圧倒的な証拠があるのにもかかわらず、固持し続けていた。そんな中、オバマ大統領の演説を聞いたシェディードさんは、米国人であることを改めて誇りに思ったという。

「私たちは苦悩し、恐怖の中にいた。そして涙に暮れていた」とシェディードさん。「私たちはトランプ氏のような人々を恐れている。もし9・11の時にトランプ氏が表舞台に立って同じ話をしていたなら、私たちの多くが危害を加えられたに違いない」

 ニューヨークでコンビニエンスストアを経営するサーカー・ハーク(Sarker Haque)さんは5日昼、店に入ってきた男に殴る蹴るの暴行を受け、唇を切り左手を脱臼するけがをした。男は50代の白人で、「俺はイスラム教徒を殺したい」と脅迫したという。

 ハークさんは、この事件をきっかけに、初めて恐怖心にさいなまれるようになったと話す。「以前は不安を感じたことなどなかった」「それが今は、常に左右を見回していないといけない」。警察は、容疑者の男を暴行容疑で逮捕したと発表した。ハークさんは、事件はヘイトクライムだったと考えている。(c)AFP/Jennie MATTHEW