【12月1日 AFP】国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)が11月30日、フランス・パリ(Paris)近郊ルブルジェ(Le Bourget)で開幕した。「全人類の希望」を一身に背負ってこの歴史的会合に結集した各国首脳らは、壊滅的な気候変動から人々を救うという誓いを新たにしたが、それぞれの立場を隔てる溝もたちまち露呈した。

 同時テロ事件に見舞われたパリに厳戒態勢が敷かれる中、12日間の日程で開かれる会合初日には、史上最多となる150か国以上の首脳が出席。同事件は、気候変動抑制の突破口を見いだそうとする努力にも拍車を掛けたようだ。

 開会に当たりフランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は、「国際会議の重要性がここまで高まったことはなかった。というのも今回は、地球の未来、生命の未来が懸かっているからだ」「全人類の希望があなた方の肩にのしかかっている」と述べた。

 科学者らは、温室効果ガスの排出量抑制につながる緊急行動に踏み切らなければ、人類はさらにひどい干ばつ、洪水、嵐、海面上昇に見舞われ、何百万人単位の人々が飢えや病気に苦しみ、移住を余儀なくされると警告している。低海抜諸国に至っては、水没してしまう恐れもある。

 国連(UN)によると、30日の会合に出席した首脳の数は、1日に集まった人数としては史上最多を記録。気候変動との闘いに向けた世界的な取り組みの拡大が改めて強調された。

 また集まった首脳の多くは、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出しているパリ同時テロで死亡した130人に敬意を表するためにも、野心的な合意を取り付けようという意欲を示した。会合の冒頭では犠牲者を追悼するため、1分間の黙とうがささげられた。

 国連は1995年以来、地球温暖化対策の年次会合を開催してきたが、常にその努力を行き詰らせてきたのは、富裕国と貧困国の対立だった。

 貧困国の多くは、産業革命以降化石燃料を燃やせるだけ燃やして繁栄への道をまい進してきた富裕国こそ、責任の大部分を負うべきだと主張している。

 一方米国をはじめとする先進諸国は、急速に成長する経済を支えるため、貪欲に石炭を燃やし続けている中国・インドといった巨大な新興国も、より大きな貢献をしていくべきだと訴えている。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は演説で、中国が炭素排出量を2030年までに減少に転じさせると誓約した一方で、貧困諸国が気候変動に対処するのを支援するために2020年から年間1000億ドル(約12兆2000億円)を調達するとした富裕諸国側の2009年の約束を守るよう呼び掛けた。

 また、インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は、同国は今後も石炭燃焼量を増やし続けるとの意向を改めて表明。先進諸国に対し、炭素排出量のさらなる削減を求めた。(c)AFP/Karl MALAKUNAS