【12月1日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は11月30日、仏パリ(Paris)で開幕した国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)で行った演説で、富裕諸国は発展途上世界に対し、化石燃料からの完全な脱却を強制するべきではないと述べた。

 モディ首相は「われわれは依然として、従来型のエネルギーを必要としている。従来型エネルギーの使用停止を強要するのではなく、それを汚染の少ないクリーンなものにする必要がある」と述べた。同首相はこれまで、インド国内の急速な経済発展に必要な電力を供給するために、今後も石炭が必要となる状況が続くと主張してきた。

 インドでは、人口の3分の1近くが依然として極度の貧困状態にあり、電力の使用が制限されている。政府は、安価で豊富な石炭に頼らなければ、こうした状態の見通しが向上する見込みはほとんどないとみている。

 二酸化炭素(CO2)排出量の抑制と、貧困国での産業開発を可能にすることとのバランスの調整が、11日までの日程で行われる協議の中心課題とされている。

 モディ首相は、COP21の首脳級会合で「先進諸国が野心的な目標を想定して、目標達成に向けた誠実な努力が望まれる。それは、歴史的責任の問題だけにとどまるものではない。先進諸国は、排出量を削減して最も強い影響を与えるために有する余地が最も大きい」と語り、「富裕諸国は依然として、強大なCO2排出量を有している一方、発展の階段の最下層にいる世界の数十億の人々は、成長の余地を求めている」と続けた。

 モディ首相は、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が先に提示した要求に同調しつつ、貧困諸国が気候変動に対処するのを支援するために、2020年から年間1000億ドル(約12兆2000億円)を調達するとした富裕諸国側の約束を守るよう呼び掛けた。

 また「先進諸国は、発展途上世界の全てにクリーンエネルギーを低コストで利用可能にするための責任を果たさなければならない」とも話している。(c)AFP