【11月25日 AFP】米イリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)で、2014年に黒人少年を射殺した白人警官が24日、第1級殺人罪で訴追された。当局は同日、事件をとらえた「身も凍る」映像を公開。同市のラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)市長は、映像を見ても冷静に行動するように市民に呼びかけた。

 米国ではこれまでにも、警官による発砲をとらえた映像が、大規模で時に暴力的な抗議運動を引き起こす事例が多発しており、警官による人種差別や殺傷力のある武器使用をめぐる議論が白熱している。

 前日の23日には、ミネソタ(Minnesota)州ミネアポリス(Minneapolis)で、警官による別の黒人射殺事件をめぐり抗議デモを行っていた人々に対し、3人組の男が発砲する事件が発生。5人が負傷したが、重傷者は出なかった。警察は24日、容疑者2人を拘束した。

 シカゴの事件で公開された車載カメラ映像には、ジェイソン・バン・ダイク(Jason Van Dyke)容疑者が、道路の真ん中を歩くラクアン・マクドナルド(Laquan McDonald)さん(当時17)に向け16回にわたり発砲する様子が写されている。

 マクドナルドさんはバン・ダイク容疑者から離れて歩いていくが、その後、体が回転し、路上に倒れる。体を丸めて横たわるマクドナルドさんが頭を上げ、片腕を動かすと、胸付近からさらなる発砲による煙が立ち上る。警官が映像に写り、手元から刃物を蹴飛ばすが、マクドナルドさんは動かないままだ。

 クック郡(Cook County)のアニタ・アルバレス(Anita Alvarez)州検事は、この映像を「生々しく、暴力的で、身も凍るものだ」と説明。同検事によると、マクドナルドさんは撃たれた時、ナイフを持っており、その前に警察のパトカーのタイヤに切りつけていた。撃たれた際にはバン・ダイク容疑者から遠ざかるように歩いており、何ら威嚇的な態度は取っていなかったという。また、対応した他の警官7人は、マクドナルドさんへの発砲の必要はなかったとの見解を示しているという。(c)AFP/Mira OBERMAN