中国の移植用臓器、ほぼ全てが無駄に 今年のドナー約2500人
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【11月25日 AFP】中国で移植用に提供された人の臓器のほぼ全てが使用されないままになっていると、国営メディアが伝えた。中国では、刑執行後の死刑囚の臓器の使用をめぐり、長年にわたり論争が起きていた。
国営紙の北京青年報(Beijing Youth Daily)が、中国人体器官捐献与移植委員会(China Organ Donation Committee)の主任委員で元衛生省次官の黄潔夫(Huang Jiefu)氏を引用して伝えたところでは、今年の臓器提供者(ドナー)は2500人以上になる見込みという。
同氏によると、2500件の心臓移植と5000件の肺移植が「理論上」は可能だったが、今年1月以降に実施された心臓移植は100件をわずかに超えるのみで、肺移植も同程度の件数だったという。同紙は臓器輸送が遅いことと調整のまずさが無駄の原因だと非難している。
これとは対照的に、英国民保健サービス(NHS)の最新の年間データによると、英国では3300人以上の患者が、死亡した臓器提供者1282人の臓器から恩恵を受けている。
中国で臓器提供が限られているのは、人口13億7000万人の多くが死後の転生を信じており、遺体を完全に保つ必要を感じているからだ。
臓器の需要は一貫して高く、提供の強制や違法売買の誘因となっている。海外の人権団体は以前から、刑執行後の死刑囚からの臓器摘出を非難してきた。
中国は今年初めから処刑囚からの臓器提供を禁止したとしている。だが、一部の国際医療団体は、規制を回避するため、死刑囚を自発的提供者として分類し直したのではないかと疑っている。(c)AFP