【11月21日 AFP】西アフリカ・マリの首都バマコ(Bamako)で20日、イスラム過激派とみられる武装集団が高級ホテルを襲撃し宿泊客ら約170人を人質に立てこもった事件は、地元報道と治安情報筋によると発生から9時間後に特殊部隊が突入して人質を救出した。少なくとも27人の遺体が見つかったという。国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系武装勢力「アルムラビトゥン(Al-Murabitoun)」が犯行声明を出している。

 現場のマリ軍当局筋は、「人質事件は終了した。現在はホテルの安全確認作業を行っている最中だ」と述べた。治安当局筋によると、少なくとも27人の人質が死亡したという。救出作戦にはフランスの特殊部隊も参加したという。

 作戦には、襲撃を受けたホテル「ラディソン・ブル(Radisson Blu)」からほど近い米国大使館で会議に出席していた米特殊部隊員2人も参加し、米国人人質6人の救出に協力した。

「ラディソン・ブル」は西アフリカ随一の高級ホテルとして名高く、世界中から実業家や旅行客、政府関係者などが訪れる。全190室のホテル内には豪華なスパや屋外プール、会議室などがある。

 目撃者は今回の事件について、十数人の武装集団が襲撃してきたと話しているが、マリ軍当局筋は「テロリスト3人が射殺されたか自爆した」と報告しており、容疑者の数は最大で4人だとしている。

■ベルモフタール容疑者が主導か

 犯行声明を出した武装勢力「アルムラビトゥン」は、アルジェリア人のモフタール・ベルモフタール(Mokhtar Belmokhtar)容疑者を指導者として、2013年にアルカイダの西アフリカ支部として結成された組織。

 カタールを拠点とするテレビ局「アルジャジーラ(Al-Jazeera)」が報道した犯行声明録音では、男の声で「われわれアルムラビトゥンは、『イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(Al-Qaeda in the Islamic MaghrebAQIM)』の兄弟たちとともに、ラディソンホテルにおける人質作戦を実行した」と話している。

 ベルモフタール容疑者は2013年1月にアルジェリアの天然ガス施設が襲撃され、日本人を含む少なくとも38人の人質が死亡した事件の首謀者とされ、ジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)仏国防相によると数か国が行方を追っている。アルムラビトゥンは、アルジェリア人質事件を実行したアルカイダ系武装勢力「イスラム聖戦士血盟団(Signatories for Blood)」と、2012年にマリ北部の一部を制圧したイスラム武装勢力「西アフリカ統一聖戦運動(Movement for Oneness and Jihad in West AfricaMUJAO)」が合体して生まれた。

 仏パリ(Paris)で130人が死亡した同時テロから1週間が経ち、世界各地でイスラム過激派による襲撃事件への恐れが高まっている。(c)AFP/Serge DANIEL