【11月20日 AFP】ある人にとっては健康的な食べ物が、別の人では体重増加につながる可能性がある──。「万人向け」のダイエットが存在しているとの概念そのものが、根本的に誤りであることを示唆する研究結果が19日、発表された。

 医学誌「セル・プレス(Cell Press)」に発表された今回の研究結果は、イスラエル在住の800人を対象とした調査に基づくものだ。

 今回の研究では、一般的に、低脂肪で栄養豊富な食べ物とみなされているトマトを食べた女性に血糖値の急上昇がみられるなど、対象となった人々の間には、食べ物へのさまざまな反応がみられたという。

 イスラエル・ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)の研究者、エラン・セガル(Eran Segal)氏は「同一の食事に対する人々の反応に非常に大きなばらつきが観察されたことは、最初の大きな驚きであり、大きな発見だった」とコメントしている。

 調査の参加者は、血糖値モニターを1週間にわたり装着し、腸内細菌群が分析できるようふん便サンプルを提供した他、摂取したもの全てを詳細に記録した。参加者には、糖尿病患者はいなかったが、肥満や糖尿病予備軍として知られる症状がみられる人は含まれていた。

 調査の結果、年齢や体格指数(BMI)は食後血糖値と密接に関連していた。これは研究チームの予想通りだった。だが、全く同じ食物に対する代謝反応に、参加者間で違いがみられたことに研究チームは驚きを隠せなかったという。

「個人と個人の間には、決定的な差異が存在している。個人の示す代謝反応が、互いに正反対となる場合もあるほどだ。このことは、これまでの文献で大きく欠落した部分だった」とセガル氏は指摘した。