【11月21日 AFP】男子テニスの錦織圭(Kei Nishikori)は、四大大会(グランドスラム)制覇へ前進し続けるために、万全な体調を維持していくことが2016年シーズンの最大の目標だと認めている。

 この11か月間、錦織は故障に悩まされ続け、メジャータイトル獲得の望みを断たれてきた。

 昨年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2014)でファイナリストになる躍進を遂げた後、今季の錦織はノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)、そしてラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)の「ビッグ4」に対抗する急先鋒(せんぽう)とみられていた。

 しかし、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2015)と全仏オープンテニス(French Open 2015)で8強入りにとどまると、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2015)の2回戦をふくらはぎの故障で棄権。そして、全米オープンでは屈辱の初戦敗退を喫してしまった。

 グランドスラムやATPワールドツアー・マスターズ1000(ATP World Tour Masters 1000)のトロフィーを母国にもたらすために必要とされる才能とスタミナを備えていることは確かだが、それを成し遂げるためには慢性的なふくらはぎと腰の故障を回避しなければならない。

 錦織は19日、英ロンドン(London)で開催されているATPワールドツアー・ファイナル(ATP World Tour Finals 2015)でフェデラーに敗れて今シーズンを終えると、「来年が楽しみです。身体的には、もう少し強くなる必要があると思っています」とコメントした。

「もう少しレベルを上げるために、細かい修正に取り組んでいくつもりです。中でも体調を万全にすることが、最も大切だと思っています」

 錦織にとって2015年シーズンは決して散々な結果ばかりではなく、メンフィス・オープン(Memphis Open 2015)、バルセロナ・オープン(Barcelona Open Banc Sabadell 2015)、さらにシティ・オープン(Citi Open 2015)を制してツアー3勝を飾り、世界ランクも8位以内にとどまった。

 そして、2年連続で出場を果たしたツアー・ファイナルで、錦織は世界1位のジョコビッチに喫した初戦の惨敗から見事な立ち直りをみせた。

■勝利への持ち前の闘志

 ジョコビッチとの試合で2ゲームしか奪えなかった場合、闘争心に欠ける選手なら戦意を喪失してしまうだろう。

 しかしながら、錦織は勝利に対する持ち前の闘志で、1次リーグ2試合目のトマス・ベルディハ(Tomas Berdych、チェコ)戦を制して立ち直った。

 さらに、少年時代から憧れていたフェデラーとの直接対決で3勝目を目指した錦織は、この日の5度のブレークに成功するなどスイス王者を瀬戸際まで追い詰める場面もあった。試合は5-7、6-4、4-6で敗れ、錦織は敗退が決定した。

 こうした力強いパフォーマンスで2016年に向けて新たな希望を抱かせた錦織は、「僕にとって重要なのは、特にマスターズやグランドスラムなどのビッグタイトルを獲得することです。今季は、そういった大会で成績が残せていませんから」と語った。

「今年は3大会のマスターズを欠場してしまいましたが、それでもトップ10内にはとどまりました」

「今年よりもっと良い成績を残せば、来年(のランキング)はもっと上に行けると思います」

「トップ選手に勝つためには、細かい修正が必要だと思いますが、彼らに近づいている手応えはあります」

 来年1月の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)までの3週間に及ぶ合宿で、錦織が掲げている主な目標の一つはネットプレーの改善だという。

「もっと、ネットに出る練習を積むつもりです。今年はかなり上達したので、それを維持していきたいですね」

「ファーストサーブを決めるのも大切ですね。あまりエースを決めるタイプではないので、もう少し成功率を上げていく必要があります」

(c)AFP/Steven GRIFFITHS