【11月17日 AFP】フランス・パリ(Paris)で発生した連続襲撃事件の現場の一つとなった、カンボジア料理店「プティ・カンボージュ(Le Petit Cambodge)」とカフェ「カリヨン(Le Carillon)」がある交差点では、人々が静かに、そしてぎこちなく立っていた。道路には、ここで亡くなった14人の血の跡が、まだ残っている。

「今回は違う」。11歳の息子と一緒に来ていたベネディクト・ジョフルさんは、1月に起きた風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社銃撃事件とユダヤ系食料品店襲撃事件を引き合いに、こう語った。「今回はもっと広範囲で、私たち全員を恐怖に陥れようとしている。1月の事件はある特定の自由に対する攻撃だった。でも今回は社会全体が攻撃された」

■「イスラム教徒は抗議を」

 一方、運河の向こう側にある、先の襲撃でフランスの団結の象徴となったレピュビュリック広場(Place de la Republique)では、人々の涙や、屈しないという強い気持ち、そして恐怖によって、張り詰めた空気が広がっていた。この緊張状態は15日の夜、パニックへと変わった。警察当局筋によると、爆竹の音がきっかけで、多数の人々が逃げ出す騒ぎが起きたのだという。

 カリヨンでもまた、誤った情報を聞きパニックを起こした人々によって、店の前にたむけられていた花などが踏みつけられた。マレ(Marais)地区でも、オーストラリア人観光客が私服警察官を見て、一般人が銃を持ち歩いていると思いこみ、同様の騒ぎが起きた。

 4歳の娘を連れてレピュビュリック広場を訪れたエレーヌ・ラグットさんは、フランスは今回の連続襲撃事件で1月の事件よりも深い傷を負ったと語る。それは、単に犠牲者数が多いという理由ではなく、イスラム過激派を怒らせたジャーナリストやユダヤ人社会のみならず「私たち全員」が標的となったからだと言う。

「だから私たちは共に立ち上がらなければならない。だからこそ、フランスに住むイスラム教徒とその指導者たちに、私たちと一緒にデモに参加して、こうした事件を起こすのは自分たちではないと示してほしい。これを示さなければいけない。そうしなければ何が起こるかを考えると、恐ろしい」