【11月15日 AFP】13日夜にフランス・パリ(Paris)で発生した連続襲撃事件で、実行犯の一人として最初に身元が特定されたオマル・イスマイル・モステファイ(Omar Ismail Mostefai)容疑者(29)は、これまで警察に軽犯罪者として知られていただけの人物だったことが分かった。

 モステファイ容疑者は、連続襲撃事件の現場の一つとなったコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」で自爆し、89人を殺害した3人の男のうちの一人で、ホールのがれきから発見された同容疑者の指から身元が特定された。

 パリ郊外の貧困地域クールクロンヌ(Courcouronnes)で1985年11月21日に生まれたモステファイ容疑者は、2004~10年の間に軽犯罪で8回、有罪判決を受けているが、収監されたことはない。

 パリ検察のフランソワ・モラン(Francois Molins)検事は、同容疑者は2010年に急進化した要注意人物としてマークされたが、13日までは「テロ組織や計画に関与したことは決してなかった」と述べた。

 警察関係者によると、捜査当局は現在、同容疑者が昨年シリアへ行ったかどうか調べているという。

 13日の連続襲撃は、129人が死亡し352人が負傷、うち99人が重傷となるなど、パリ史上最悪のものとなった。

 同容疑者の父親と34歳の兄は14日夜、警察に身柄を拘束され、彼らの自宅は家宅捜索された。

 拘束される前に兄はAFPに、「これは恐ろしいことだ。狂気だ」「私は昨日パリにいて、混乱を見た」と声を震わせて語った。

 兄弟4人と姉妹2人の家族の一員であるこの兄は、モステファイ容疑者が襲撃に関与したと知り、自ら警察に出頭した。

 数年前に縁を切ったとした上で、同容疑者が軽犯罪に関与していることは知っていたが、過激な行動に走るとは想像もしていなかったと語った。(c)AFP/Clément ZAMPA