【11月11日 AFP】仏パリ(Paris)で今月末から、地球温暖化に歯止めをかけるための新たな行程表の策定を目指し、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)が開催される。世界中のメディアがこの一大イベントのあらゆる面に目を光らせ、万事において環境への最大限の配慮が必要とされるとあって、運営側は細心の注意を払いながら準備を進めている。

 会議にはバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領や、習近平(Xi Jinping)中国国家主席をはじめとする各国首脳80人以上を含む数万人が出席する予定だ。仏国内で行われる国際会議としては、世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)が採択された1948年以来最大。今月30日の開幕に合わせて厳戒態勢が敷かれる。

 各国首脳らはこの会議で、地球全体の気温上昇幅を産業革命以前の水準から2度未満に抑えるという目標を掲げた気候変動対策条約の締結を目指している。

 会場となるパリ近郊のルブルジェ(Le Bourget)には現在、出席者向けの宿泊施設やレストランなどを含む期間限定の「町」の建設が進んでいる。何もかも持続可能な開発という原則にのっとって計画されてきたものだ。

 16万2000平方メートルを超える広さのこの仮設の「町」には、60棟の建物が含まれる。会議室、レストラン、店舗、銀行、郵便局、報道関係者3000人が24時間発信できるプレスセンター、医療施設などが完備され、どこへ向かうにも屋根付きの道を通って行き来できる。

■グリーンテクノロジーやリサイクル策を結集

 この「町」からは温室効果ガス2万1000トンの排出が見込まれているが、仏政府は会議終了後に南半球で行う「カーボン・オフセット」事業を通して相殺すると発表している。また2000人が出席する本会議用の巨大な会議室には900本の木が使用されるが、同数の木の植栽が予定されている。

 会議の提携企業もさまざまな環境技術を投入する。仏エネルギー会社大手エンジー(Engie)は、通常の燃焼過程ではロスになってしまうエネルギーを再利用する高効率のコンデンシングボイラーを供給。風車も導入される。

 各国の代表者らが利用するレストランや軽食の出店、カフェ、屋台などは、過剰包装しないよう指示されている。また生分解性素材や、洗って繰り返し使えるグラスやコップを使うことで、200万個のプラスチックコップが無駄にせずに済む。ケータリング業者によると、ナイフやフォーク、スプーンも全て生分解性素材のものが使われるという。もちろん会場のあらゆる場所に資源ごみ用のごみ箱が設置され、ごみ収集は電気自動車で行う。

 いわゆる「フードマイレージ」も厳しくチェックされる。同じケータリング業者の話では「提供する食品類の74%がフランス国内産」で、しかも可能な限り会場から半径200キロの範囲で買い付けを行うという。パンは毎日現地で1万個焼き、売れ残った食品は慈善団体に寄付される。

 また会場までは公共交通機関の利用が推奨されており、利用を促進するために無料切符が配布される。フランス国鉄(SNCF)は、パリ中心部とルブルジェを結ぶ郊外列車で普段よりも延べ7万人多い利用を見込み、対策を練っている。

 ただし参加団体の中で少なくとも1グループは、公式ホテルを利用しない方針を発表した。100人を超えるフランスの若い環境活動家らのグループ、「若いエコロジスト(Jeunes Ecologistes)」は真に「グリーンな」宿泊設備、つまりテントを張って、キャンプを行うと宣言している。このグループは「気候同盟」を意味するネットワーク、「コアリシオン・クリマ21(Coalition Climat 21)」に加わっており、会期中にデモを予定している数千人の活動家たち向けには十分な宿泊施設が用意されていないと、会議の運営側を批判している。(c)AFP/Dominique SCHROEDER