【11月11日 AFP】肥満の子どもたちの中には、8歳という低年齢で重大な心疾患の兆候を示す子どもがいるとの研究結果が、10日の米国心臓学会議(Scientific Sessions of the American Heart Association)で発表された。

 研究チームは子どもと10代若者で肥満の計20人と、同年代で標準体重の計20人を比較。肥満の子どもの4割に、心筋のポンプ機能の低下を引き起こす恐れがある心筋肥大がみられ、高い心疾患リスクが存在するとみなせることを発見した。

 今回の調査全体では、心臓の左心室の筋肉量の27%増加と、心筋の12%肥大化に肥満が関連していたという。どちらも心臓病の兆候とされている。また、肥満の子どもの中には、ぜんそく、高血圧症、抑うつ症などを患っている者もいた。

 調査対象の子どもたちからは心臓病の身体症状の訴えはなかったが、MRIスキャンで心臓の異常が見つかった。若年期の心臓障害は、成人期になるとより重症な疾患の発症や、早死にする確率の上昇につながる可能性があると研究チームは警告している。

 研究を主導した米医療研究機関ガイシンガー・ヘルス・システム(Geisinger Health System)のジン・リンユェン(Linyuan Jing)氏は「保護者は強い意欲を持って、子どもたちの健康的な体重維持の支援に臨むべきだ」と話す。「最終的には、肥満の子どもたちの心臓で観察される影響が改善可能であることを願っているが、永久的な損傷となる可能性もあり得る。それゆえ、子どもたちが健康的なライフスタイルを送るのを保護者が助ける動機はいっそう強いはずだ」

 米国全体では、2歳の子どもから19歳の若者の約3人に1人が、過体重か肥満に陥っていると考えられている。子どもたちが8歳という低年齢で心臓病の兆候を示す可能性があるという発見は「ただならぬ事態が起きていることを我々に警告している」とジン氏はいう。「小児肥満のまん延による影響に対処する中で、心臓病の若年化による長期の悪影響を理解することが不可欠だ」(c)AFP